2017年に鐘路区にオープンした敦義門博物館マウルは、リモデリングで展示館と体験イベントを備え、2019年4月6日 新たな文化空間として生まれ変わりました。
敦義門の歴史とセムナンの名前の由来
敦義門博物館マウルは鍾路区のセムナンにあります。漢陽都城の西側の大門、敦義門(西大門)は、1396年に初めて建てられましたが、景福宮の支脈を損なうため場所を替え、1422年に現在の貞洞交差点がある場所に新しく建設されました。この時から敦義門(西大門)には新しい門という意味の「セムン」という別称がつき、敦義門の内側の町は「セムン アン ゴル」「セムン アン マウル」(新しい門の中の村・町という意味)と呼ばれるようになりました。
その後日帝強占期(日本が植民地支配をした時代)の1915年、日帝は都市計画という名目のもと、敦義門を撤去しました。敦義門は2019年現在も、ソウルの四大門の中で唯一、存在しない門になりました。
光復後1960年代~70年代は、 周辺に名門校が多かったセムナンマウルには、家を改造し学生に勉強を教える有名私塾がたくさんできましたが、名門校が江南地域に移っていき、私塾は下火になりました。その後は高層ビルが建ち始め、周辺企業に勤める会社員を対象とした食堂路地として全盛期をむかえます。
2003年には再開発で既存の建物を全面撤去し、公園が作られる計画でしたが、ソウル市は、新しい建物を建てるのではなく、漢陽都城の城門内の最初のトンネであるセムナンマウルの歴史的価値を広く知らせ、セムナンマウルの生活と記憶を保存しようと、既存の建物を補修することを選択し「ソウル型都市再生方式」をすすめ、地域全体を博物館マウルとしたものです。
近現代100年、記憶の保管所
そして近現代のソウルの歴史、暮らしをそのまま維持、再現し、地域全体が博物館となりました。敦義門博物館マウルは4つのテーマに分かれています。
マウル展示館 | 敦義門地域の歴史と再生を紹介する敦義門展示館や60~80年代の生活を再現したレトロな建物のさまざまな展示館 |
マウル教育館 | 伝統文化体験ができる韓屋施設 |
マウル創作所 | 写真館や地域のアーティストが制作した作品のワークショップなど |
その他施設 | 案内所、休憩所など |
敦義門博物館マウルはとても広く、テーマパークといえるほどの規模です。わたしが見学した展示館と創作所の一部を紹介します。
生活史展示館
60~80年代の一般の家を再現。靴を脱いで中に入ることができます。観覧無料です。
劇場を再現した建物
60~80年代の映画館を再現。2階では当時の映画が上映されています。無料で観ることができます。
ゲームセンターと漫画部屋(娯楽室)
韓国の「漫画部屋」は、レンタル、または読書ができる部屋がある娯楽施設のことです。
ところで日本語で言うところの「レトロ」は、韓国では「アナログ時代」と表現します。
ゲームも無料で楽しめます。初期のスーパーマリオをプレイしてきました。なつかしいゲームばかりで楽しすぎです。
ゲームばかりしてお母さんに怒られているトリック写真を撮ることができます。
写真館
近代の社交場と、80年代の結婚式場の雰囲気のスタジオ。豪華です。
入口にこちらで撮られた写真がたくさん貼られていますが、すてきな写真ばかりでした。良い記念になりそうです。
理髪店
理髪店。説明文には「まっすぐ、端正なヘアスタイルで人気満点だった理髪店を再現した空間」とありました。ビシッ!ときめたヘアスタイルが人気だったようです。ところでわたしの感覚ですが、韓国人男性は髪型に気をつかっている方、とても多いと思います。
他にもマウル創作所では、地域のアーティストが制作した小物を販売するお店がありました。体験教育館では、さまざまな文化体験ができます。韓紙や押し花工芸、陶磁器制作、また講義や朗読会など、毎日さまざまなプログラムが用意されています。
ソウルの中心地ですが、隣に慶熙宮がある場所でもあり、マウルの路地の中はとても静かです。警察博物館の帰りに偶然発見し、まだほんの一部しか見学していないため、また探索したいと思います。展示館や路地をふらっとひとりで散策するだけでも、とても楽しめるので本当におすすめです。
それではアンニョン~
Address
서울특별시 종로구 송월길 14-3
14-3 Songwol-gil, Jongno-gu, Seoul
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