韓国の給食とオーガニック農産物配送事業

2020年4月30日

韓国の学校給食無償化の始まり

写真＝清州南中学校サイト

韓国では1980年代から核家族化が進んでいます。また、仕事を持つ女性も増え、家族の毎日の食事に加え、子どものお弁当を準備する負担を考えると、学校給食はなくてはならないものです。

教育部 2018年度学校給食費用負担割合

古くは朝鮮時代の教育機関の成均館にも給食があり、生徒に毎日給食を提供したという記録が残っている。現在韓国では全国の小、中、高、特殊学校合計 11,818校すべての学校で給食が実施され、その中の 80.8％が無償給食を実施しており、学生たちは給食費なしで昼食を取ることができます。

＊教育部の公式最新情報 2019-07-30登録より（2020年現在は増加の可能性が高いです）

写真＝清州南中学校サイト

無償給食とは、税金を財源に生徒に無償で提供する給食のこと。韓国では、国民基礎生活保障（生活保護）受給者やひとり親家庭、家庭の事情で給食費の支払いが滞ったりする子供など、一定の基準に合う場合に、無償給食支援をしていたが、2007年慶尚南道キョンサムナンド居昌郡で初めて、自治体単位で無償給食が導入された。

教育部 2018年度学校給食実施現況

韓国の無償給食は、2010年の地方選挙で野党が「無償給食の全面拡大」を選挙公約に掲げたことから広がった。そして野党5党が大挙して当選し、市民の要求を追い風に大きく広がり、施行学校が毎年増え続けてきました。（＊上の表は給食予算、実線が保護者負担比率）

オーガニック農産物使用

韓国の給食は材料についても細かい指針があり、無償で提供されるといっても、良質な材料を使用しています。たとえばソウル市の場合、オーガニック農産物（친환경 농산물 ）の使用比率を70%以上維持するよう勧奨する条項が給食の指針にある。

成長期の学生たちの健康を守るため使用されるオーガニック農産物（친환경 농산물 ）は、一般的な農産物より概ね1.5倍～2倍ほど価格が高い。

「オーガニック農産物セット」配送事業

コロナ19（新種コロナウイルス感染症）の影響により、各種学校ではオンラインでの始業式が行われ、今年の無償給食予算のうち、無償給食の 3～4月の食材予算 6000億ウォン以上が残っている。
この6000億ウォンを活用し、小中高校の学生がいる家庭に、農産物セットを無償で支給することにした。

4月27日「小中高家庭農産物セット支援事業」党政協議会 /聯合ニュース

写真＝全南インターネット新聞

5月より、3万ウォン相当、3kgの農産物を月 1回～2回配送する予定。費用は、1ヵ月に約 1700億万ウォンほどかかると予想されている。

【参考】朝鮮日報 / nocutnews / 머니투데이

全羅南道有機農産物包みの配送事業 / 写真=全羅南道

「オーガニック農産物（친환경 농산물 ）セット」の配送事業は、全羅南道チョルラナムドから始まった取り組みで、コロナ19の克服モデルとなり、全羅北道チョルラブッド、慶尚南道キョンサンナムドに続き全国に広がりました。コロナ19で困難に直面している生産農家や給食業者の支援になり、また始業延期で給食が中断された成長期の学生の健康、家計の助けにもつながる。一石二鳥、いや三鳥、それ以上のすばらしい政策です。

韓国では、税金は市民のために使われます。ああだこうだ･･･できない言い訳をする前にまず試してみる。そして実行する力があります。

チーム長

とにかくフットワークが軽いのよ

待てないんです。ッパッリパッリ（早く早く）なのよ

テヒ

韓国の「ご飯食べた？」文化

밥 먹었어パンモゴッソ？（ご飯食べた？）
식사 하셨어요シッサハショッソヨ？（食事されましたか？）

「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」とセットで毎日使う、韓国スタイルの挨拶言葉です。昔、なかなか満足にご飯を食べられなかった時代に、お互いを気遣い、かけあっていた言葉のなごりだそうです。

写真＝韓国の学生が使うSNS「우리학교 클라스」

韓国の給食デザートブッフェ。おいしそう

毎日の食事が、からだをつくります。だから誰にとっても、食事は重要です。自分がご飯を食べたかどうか、自分の健康を気にかけてくれる人がいる･･･　それはとても幸せなことですね。

言葉には力があり、毎日お互いを気遣う言葉をかけあっていると、自分自身にも、相手との関係にも、変化が起こります。

無償給食、オーガニック農産物セットの配送事業、韓国の 밥 먹었어パンモゴッソ（ご飯食べた）文化（勝手に名づけた）、これらは隣人の健康を気遣う温かい心から生まれたものです。

益山高等学校給食/ 写真：ソウル経済

（給食は）初期は欠食児童を防止するためであり、以後は子どもの体力向上と平等の実現、食習慣の改善、食事礼儀教育、そして家庭での負担軽減などでその必要性が少しずつ変わってきた。究極的には良質の食事を提供することで、対象者の精神的・肉体的健康を増進させ、満足度を高めることが重要であるが、最近では給食が学校のイメージを代表する要素にもなっている。
ー中略ー
"偏食の矯正と正しい食習慣を身につけ、成長期の生徒の発育に必要なバランスのとれた栄養食を供給する"という基本趣旨に沿って学校給食を運営し、成長期の児童の健康を守る必要性が高まっている。

引用：行政安全部国家記録院http://theme.archives.go.kr/next/koreaOfRecord/cafeteria.do