世宗大王の愛国精神を継承し、ハングルの資料を収集、保存し、その優秀性、文化を広く知らせるための活動をおこなっている国立ハングル博物館。
2014年ハングルの日(10月9日)に開館。10月9日韓国は国慶日で休日となります。
ハングルとは
ハングルとは韓+글자で、大韓固有の文字のこと。大きい文字、完璧な文字という意味もある。そのため「ハングルを読めません◎」は正しい。
「ハングルができません×」や「ハングル語×」は間違いです。⇒「韓国語ができません◎」「韓国語◎」が正しい。
「ハングル講座」について
NHKの「ハングル講座」は「韓文字の講座」という意味の題目をつけながら会話も教えているため、紛らわしく、多くの誤解を呼んでいる。
これは「韓国語講座」にすると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)系の団体などから「朝鮮語講座」にするべきだという抗議が入り、「朝鮮語講座」にすると反対の状況が起こり得るために代案を考えた結果だという話がある。(NHKに未確認ですが・・・)
ちなみに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では韓国を南朝鮮と呼び、そして韓国では朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のことを北韓と呼びます。
「ハングル」という言葉を使い始めたときは大韓帝国時代で同じ国だったから、NHK「ハングル講座」という名称は中立といえるかもしれない。しかしながら現在、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では自国を指す表現として「韓」を使わない。文字についても「ハングル」と言わず 조선글(朝鮮文字)に変えて使っているそうなので「ハングル講座」という名称は現実には中立でないと言える。
ところで近年、上智大学を始めいくつか大学など教育機関では「コリア語」という名称が使用されているところもあります。既存の考えにしばられない新しい名称ではないかしら。
ハングルの創製
1443年10月、世宗大王は「民を教える正しい音」という意味の訓民正音を創製した。誰が、いつ、どのような目的で創ったかが明らかな文字は世界でハングル以外にありません。
訓民正音解例本
現在残っている訓民正音 解例本はユネスコ世界記憶遺産と大韓民国国宝に指定されています。
朝鮮時代
朝鮮時代中期の文臣 李文楗。父母のお墓にハングルで刻まれた碑石を建てた。現存するハングルの一番古い資料で、ソウル蘆原区の下渓洞にある。
朝鮮時代後期の文臣申景濬。ハングルの原理を絵とともに表し解説した研究書を書き、ハングルの科学的研究に大きな成果を残した。
朝鮮時代後期~大韓帝国期
1894年 高宗がハングルを朝鮮の公式文字に定めた。
日帝強占期(日帝の植民地支配期)
現代韓国語文法の体系をつくった国語学者、周時経先生。後ろの建物は最初の国立国語研究機関の国文研究所。訓民正音を「ハングル」と呼び始めたのは、大韓帝国期1913年、周時経先生が初めてといわれる。
1926年 日帝の植民地支配期、朝鮮語研究会が主導しソウルの食堂で「訓民正音頒布480周年記念式」を行った様子。
1929年 日帝の植民地支配期、朝鮮語学会が最初の韓国語大辞典「조선어 큰사전」の編纂を始めた。
ハングルの普及
ハングルは仏教や儒教の経典や外国語学習、文学、作品、生活用品など、多方面で幅広く使われ普及していった。
1699年の通訳を担当する訳官の日本語学習のための会話教材。ひらがなで本文を表記した横に、ハングルで読み仮名がふってある。この時代にこのような本が出されていたことは驚き。ハングルもひらがなもあまり読めない…ㅠㅠ
1795年の中国語学習の教材。中国と貿易活動をする状況を会話形式で載せ、読み仮名と翻訳文が書いてある。
1920年代人気を博した古典小説 春香伝。表紙がカラフルで当時メンコを意味するタクチ本と呼ばれた。
ハングルのデジタル資料や近代の映像など
ハングルで書かれた広告
1930年「世界的強壮剤ネオトントニック」の広告。日帝強占期1920年代以降は、いわゆる誇大広告の無法地帯だったと言われている。このネオトントニックはアメリカからの輸入品で、食欲減退、肺結核、神経衰弱、心臓機能不全・・・いろいろな適応症があるそうな。
1933年。毛髪を美しく整えてくれ、白美のつやを出してくれ、芳しい香りを放つウテナポマード。友人たちもみなウテナポマードを使っている…とのこと。
1934年の女性用化粧品レートクレームの広告。お肌のキメが若返り、シルクのようなお肌のキメに。
国立中央博物館とセットで見学
国立ハングル博物館は国立中央博物館と同じ敷地にあります。ソウルに来て博物館を見学するなら、個人的にまず最初におすすめしたい場所が国立中央博物館です。多くの貴重な国宝、宝物が所蔵、展示されていますが、入場料が無料なのは本当に驚きます。この規模の博物館なら多くの国でそれなりの入場料、$20くらいはしますから・・・。広い池と庭があり、野外にも数々の展示物があります。
国立ハングル博物館
139 Serving Street, Yongsan-gu, Seoul
ソウル地下鉄4号線二村駅2番出口から右方向に400m直進