最初の韓国映画として評価された「義理的仇討」(1919)からちょうど100年をむかえたことを記念し、2019年10月31日から大韓民国歴史博物館で開かれている企画展示。
1950年代中頃~後半は、光復(日帝の植民地支配からの開放)と6.25韓国戦争を経て、廃墟と混乱の中にあった時代。そんな中で、量、質的にも急成長した1950年代中頃~後半の韓国映画関連の所蔵品が展示されています。
1950年代中頃~後半に韓国映画が急成長した背景には、1954年の国産映画入場税免税措置などの政策が追い風となり、大衆文化に対する大衆の要求が増えたこと、また、当時映画を凌駕する娯楽が皆無だったという点を上げることができる。何よりも光復と戦争を経て、天地開闢といえるほど激変した当時の社会性と、映画が生き生きと投影されることにより大衆の大きな呼応を得たことが、映画産業成長の礎となった。
引用:大韓民国歴史博物館
光復と6.25韓国戦争を経て、自由な時代が到来する雰囲気の中、大衆の娯楽としてさまざまなジャンルの映画が製作された。
時代劇
春香伝(1955)
春香伝は、前例のない長期興行を記録し、韓国映画が商業的に成功できる可能性を示す足がかりとなった。
春香伝の成功後、時代劇製作ブームが起き、翌年1956年に制作された30本の映画のうち、半分以上の16篇が時代劇だった。 当時流行した時代劇の特徴は、歴史的事実に忠実な時代劇というより、主に登場人物個人の一代記に焦点を合わせて話が進むことが多かったそう。反対に最近の韓国ドラマは、歴史的事実から大きくそれないように作られていると思う。
メロドラマ、都市現代劇
都市現代劇とは、シティ系のいわゆるトレンディドラマのようです。
自由夫人
女性の自由奔放な恋愛と揺れる一夫一婦制の倫理などが、憧れとともに、処罰の対象として描かれた。現代もあまり変わらない。
コメディ
悲劇的な情緒が蔓延していた前時代の韓国映画から、軽快で明るい雰囲気の映画が登場し、民衆の大きな共感を得たコメディ。民主主義と自由主義の拡散に従い、言いたいことを言う自由な人物が登場した。
ソウルの休日(1956)
題名はローマの休日(1953)を思い出すけど・・・
恋人関係にある産婦人科医師と新聞記者が休日に殺人事件に巻き込まれ、互いの愛を確認するという・・・ どういう経緯かは不明。
求婚決死隊(1959)
あるレコード会社に勤める老・独身男たち(40代か?ひどい言い方)がそれぞれパートナーを探し求める内容。ポスターに楽譜や歌詞が書かれているので、劇中で歌う場面があるミュージカル映画のようです。
自由結婚(1958)
医大教授の娘が反対を押し切り自由恋愛結婚に成功する話。子が結婚相手に選んだ相手を親が反対するのは、この時代はもちろん、今でもよくあるようです。といっても実情はわかりません。コメディ映画です。
この作品はアジア映画祭(1959年)で少年特別演技賞や、第1回文教部優秀国産映画賞、作品賞、男優助演賞などを受賞している。当時人気の映画。
犯罪・スリラー
メロドラマでもあり、ギャング、不良系の登場人物が登場するジャンル。
地獄花
失われた青春(1957)
戦後の貧しい社会で犯罪者になってしまった若者や少年たちの物語を描写した映画は、現実社会と重なり反響を起こした。
韓国初の!!
生命(1958)
アジア最大規模の映画撮影所で撮影した韓国初のシネマスコープ映画。
首都映画会社 安養撮影所
1957年、首都映画会社がハリウッドスタジオシステムを真似て、東洋最大規模の安養撮影所(敷地33,500坪、建坪1,975坪)を建設して、韓国初のシネマスコープ映画である生命(1958)を製作した。 これで韓国映画界は大型画面時代を迎えることになった。
引用:大韓民国歴史博物館
運命の手(1954)
韓国映画最初のキスシーンが登場!!
「運命の手」は大韓民国歴史博物館一階で上映されていて無料で観ることができます。
屍の箱(1955)
村の青年がパルチザンのアジトに人質としてつかまり遺骨と時限爆弾の箱をすりかえてアジトを爆破する話。
この映画は・・・
魔人(1957)
韓国初の探偵映画。観てみたい!
韓国の初の女性監督作品 未亡人(1955)
国際映画祭受賞作 お嫁にいく日(1956)
시집에 가는 날(1956)=(勝手に訳すと)お嫁に行く日は、1957年第4回アジア映画祭で特別喜劇賞を受賞した。韓国映画で初めて国際映画祭で受賞し、同年のベルリン映画祭にも出品した作品。
海外との合作 異国情鴛(1957)
初めての外国との合作映画。韓国・香港合作。
それぞれの映画の概要を読んでみると現代でも充分映画になりそうな内容。撮影技術はこの時代から大きく進化した現代も、人間はみな同じだな~と思います。
1950年代の韓国映画上映
大韓民国歴史博物館一階につくられた「名画劇場」では、5篇の映画が随時上映されています。
「1950年代の韓国映画、新しい時代を開く」は、2020年2月29日まで開催中です。カラフルなポスターは眺めるだけで楽しく、展示室は広くないのでさらっと見学できます。
Address
ソウル特別市 鍾路区 世宗大路198
서울특별시 종로구 세종대로 198
-
光化門広場の集会と世宗大王の物語(セジョン イヤギ)
ソウル観光で最も多くの人が訪れる古宮、景福宮キョンボックンの目の前が光化門クヮンファムン広場です。光化門クヮンファムン広場の世宗大王セジョンデワンと李舜臣イスンシン将軍の像は人気の写真スポットですが、 ...
-
忠武公 李舜臣(イスンシン)将軍と政府標準遺影
忠武公チュンムゴン 李舜臣イスンシンは壬辰倭乱当時、朝鮮の水軍を統率していた武臣。韓国で最も有名な英雄。 李舜臣イスンシン将軍の諡號シホは「忠武公チュンムゴン」 韓国で「忠武公チュンムゴン」と言えば、 ...